○ペット御殿主に迫る決断。
迷惑なご近所で取り上げられるのが「ゴミ御殿」と「ペット御殿」。
鳥取県でそのペット御殿を取り締まる条例が制定された。
近所の人にとってはありがたいこの条例だけど、ペット御殿主は困るだろう。
また例によって、世間の意見とは反対の意見、
つまりペット御殿主をかばうような例をつくってみましょう。
鳥取県に住むAさんの家では17匹もの犬を飼っている。
犬たちは首輪はつけているものの、ロープでつないではいない。
もちろん隣の家とAさんの庭との間には高い塀があり、
玄関には頑丈な門があるので犬が逃げ出すことは無い。
しかし17匹の吠える声とフンの匂いには近所では問題になっていた。
現在75歳のAさんは17匹の犬の世話を1人でしている。
長年連れ添った奥さんは5年ほど前に他界しており、
2人いた子供は上京して家庭を持ち、殆ど帰ってこない。
1人身の寂しさを紛らわすために大量の犬を飼っているという噂もある。
元々はまだ子供たちが住んでいた頃、2匹の犬を購入したのが始まり。
その犬が次々と子供を産み、気づけば犬の数も6匹にもなっていた。
実はその頃からAさん宅に苦情が寄せられていたが、
さすがに60歳を超えたA家の奥さんに平謝りされると、強硬手段はとれない。
そんなやりとりが月に1度おこなわれ、膠着状態のまま2年が経過した。
その間にも着々と犬の数は増えていった。
が、それらの増えた犬のうち、9匹がA家の玄関に捨てられていた犬だ。
テレビ局で「犬御殿」として紹介されたことが原因と思われる。
さすがにAさん夫婦も困ったが、何の罪も無い犬たちを捨てることはできない。
捨てれば処分されるに決まっている。
しかしこれ以上犬が増えるのは、年金で生活しているA家の財政を圧迫するし、
近所からの苦情もこれまで以上に殺到するだろう。
そこでA家の奥さんは、この9匹の引き取り手を募集することにした。
この提案には町内会も賛成し、
ビラをつくって町内掲示板に張ったり、駅前で配ったり活動をした。
だがA家の夫がこれに反対し、引き取り手の決まった4匹を手放さなかった。
手放す手放さないで揉めているうちに、奥さんが他界。
奥さんがいなくなったことで、町内会はA家とのパイプを失った。
と、同時に目標が「犬の数を減らす」から「犬御殿を始末する」に変化し、
次第に近隣住民たちの活動もエスカレートしていった。
新聞・テレビ各社マスコミにA家をタレコミしたり、
A家の前に「出てけ」など書いた看板や紙を貼り付けたりするようになり、
関係ない若者たちまで石や空き缶などを家に投げ込んだりした。
それでもAさんは犬を手放さないでいた。
だが10匹以上の犬猫を飼ってはならないという条例が制定され、
制定後すぐさまAさんはこの条例にひっかかり、罰金の支払いが命じられた。
そして残酷な選択が迫られる。
条例で飼って良い犬の数は9匹まで、ということは
今飼っている17匹のうち、8匹を手放さなければならないのだ。
もしAさんが手放せば、全部とは言わないが数匹は処分されるだろう。
我が子のように可愛がり、愛情を注いで育ててきた犬たち。
その中の9匹の命を間接的であるとはいえ、奪わなければならない。
しかも誰を殺し、誰を生かすかの取捨選択はAさんの手でおこなう。
Aさんにとってこれ以上つらく残酷なことは無い。
そんな選択ができるはずの無いAさんは………
……と、まぁ勝手な作り話はここまでにしておきましょう。
ちゃんと犬は県が引き取り手を捜して、処分したりはしないでしょうし。
それにこの手の問題に巻き込まれたことの無い私が
犬御殿の主人を擁護すると、実際に被害に遭われている方が不愉快でしょう。
まぁ都合の良い作り話ですから、そうカリカリしないでくださいね。
前号にも書いたとおり、私はただ事件の上辺を見ただけで
誰でも言える当たり障りの無いコメントを偉そうに言っているヤツが嫌いで、
そういうヤツらとは違った見方を提示したかっただけですから。
皆が言っていることに賛成するなんて、小学生でもできます。
敢えて周囲の流れに逆らうことで、何か新しいことが見えるのでは……
ていうか面白がってるやってるだけですけどね。
今号は随所に私のひねくれた部分が満載となってしまいました。
深夜3時を回り、心がすさんでいる証拠でしょう、きっと。
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