「アメリ」
 
あらすじ
  小さい頃から一人空想して遊ぶのが好きだったアメリは
  22歳になっても変わらず、他人にイタズラをして人知れずお節介を焼く。
  そんな彼女は街で3分間写真機の下をあさる不思議な青年に出会い
  たちまち恋に落ちてしまうのだが、彼に告白できない彼女は……

キャッチコピー
  幸せになる

感想
  アメリが仕掛ける様々なほのぼのとしたイタズラや、
  少し変わった個性を放つ登場人物たち。
  そしてそれを軽快にテンポ良く、きれいな映像で見せてくれる映画。
  随所に面白いセリフとカットが盛り込まれており、客を飽きさせない。
  が、そんな風にこの映画をこころよく鑑賞できるかどうかは
  アメリというキャラクターを気に入るかどうかで決まる。
  もし好きになれば彼女のやる事やその結果は微笑ましいものになるが、
  気に入れなかったらアメリは妄想の世界に生きるおせっかいな女となる。
  私は一部のシーンを覗いて前者だったため、久しぶりに好印象な映画。

印象に残ったセリフ
  「会う人間を選びたいからね」
  部屋に閉じこもりっきりの理由を尋ねられた老人が一言。
  確かにイヤな人間に会わなくていいのなら、それも幸せか。

オススメ度
  ★★★★☆ 時々くだらない妄想を誌面に書き殴る私には耳の痛い話。

教訓
  空想力が全く無い人間はダメだが、そればかりの人間はもっとダメ。

ネタバレ感想文   下の部分を反転させてください

  拾った他人のプリクラを財布に貼り付けている奇特な友人がいるので
  3分間写真コレクターってのも面白い発想だなと素直に感心してしまった。
  それにあの淡々としたナレーションも結構すんなり受け入れることができた。
  私は映画や小説などにたまに登場する、
  「一見作品には関係なさそうで実は主人公や作品テーマを暗示してる」という
  作品内でキャラが語る小話のようなモノが好きなので、
  おじいさんの「絵の中の少女をどう描いたらいいか」という話題を通した
  アメリへの説教もかなり気に入った。
  そんなウイットに富んだ間接的な説教が前にあったからこそ、
  最後のおじいさんの「このチャンスを逃すな」という直球の説教が
  アメリにも視聴者にも強いメッセージとして伝わったのだろう。
  でもその後幸せになった2人をラストで登場させるなら
  バイクで走り去るシーンなんかじゃなくて、
  バラバラの3分間写真を2人で貼り付けているシーンを入れた方が、
  私には納得がいったのだけど。
  一時は勇気を出して彼にアタックした彼女でも、
  そう簡単に人って変われるものじゃないだろうし。
  私のこの映画に対する印象はガラリと変わっていたでしょう。


 
MANGA WALKER vol.188 より