「ウォーターボーイズ」
 
あらすじ
  男子校水泳部へ突如やってきた若くて美人の女性教師。
  彼女を目当てに多くの生徒が水泳部に入部するが、
  先生の「シンクロをやろう」の一言にあっという間にみんな逃げていった。
  逃げることができずその場に残ってしまった落ちこぼれの5人は、
  仕方なくシンクロの練習を始めるが……
  実際にあった男のシンクロをテーマに描くスポ根青春コメディ。

キャッチコピー
  男のシンクロ!?

感想
  やっぱり映画はCGや迫力なんかじゃないですね。
  最近、ストーリーがメインなのか、
  それともCG技術を見せびらかしたいのか分からない作品が多い中で、
  こういう上の2つから程遠い映画を見るとホッとします。
  フジテレビが製作に携わっている事もあって、
  隅々まで豪華なキャストを勿体無いくらいに軽く使ってましたね。
  逆にフジテレビ協賛だから、劇場公開時に
  やたら映画の宣伝CMが流れていて、この映画は見る気がしなかった。
   現在公開中の「リターナー」と同じ現象ですね。
  でもフタを開けてみれば想像していた以上に楽しめるデキで、
  「高校時代の青春」というテーマに挑戦しつつも、
  適度のギャグと爽快感で
  その「青春」という言葉の臭みをかなり消せたんではないか、と。
  演技の臭さも、苛立ちではなく、微笑ましい感じになっていました。
  あと竹中直人は誰も手綱を持たないとああなってしまうんですね。
  今作はコメディだったから良かったものの。
  ついでに教師役の眞鍋かをりは若すぎて、どうも先生に見えなかった。

印象に残ったセリフ
  本番直前に怖気ずいた主人公へコーチ(?)が一言。
  「ここで恥をかく方が一生ダメなままよりいいだろ」 

オススメ度
  ★★★★☆ たまには爽やかな映画もいいじゃない。

教訓
  青春を題材にすると、その臭みをどのくらい消すかが問題となる。

ネタバレ感想文   下の部分を反転させてください

  この映画が良いと思えるかそうでないかは、
  やはりこの映画のテンションに肌が合うかどうかでしょう。
  「青春」を扱う際に生じる臭さは極力消されていますが、
  それでも残った臭さに反応してしまう人も入るはず。
  確かに練習シーンが少なかったり、突如部員が増えたりする展開に
  違和感を覚えて「んなワケあるかい!」と突っ込みも入れてしまうだろう。
  でも私は何故かすんなり受け入れられましたね。
  シンクロ本番のシーンは純粋に「すげぇなぁ」と見とれてしまいましたし。
  各キャラの設定・性格もかなりありがちなモノだったが、
  ギャグ要素で包んで、最後は彼らの頑張りであまり気にならなかった。
  それにあの爽快感のままバッサリ幕を引いてしまったのも大正解。
  シンクロ終了後に展開が予想される、主人公と女子高生の恋愛話や、
  オカマと彼の攻防戦、演技の成功を全身で喜ぶ部員たちなど
  それこそいかにも「青春」っていう話を描かず、エンドロールを流してくれた。
  もしそんなシーンがあったら
  私のこの映画に対する印象はガラリと変わっていたでしょう。


 
MANGA WALKER vol.187 より