第51回「価値を下げる修飾語」

 まず始めに修飾語の説明をしておきましょう。
 修飾語とは、後に続く後を詳しく説明する言葉のことを指します。
 例えば「先生が嬉しそうに歩いている」という文章だと
 「嬉しそうに」の部分が修飾語です。
 しかし中には予想外の意味を含んでいる修飾語もあると私は思います。
 そんなわけで今回はそれらを紹介していきます。

 「エジソン」という語句。
 この語句は電球や蓄音機などを発明したトーマス・エジソンを指す以外に、
 「発明王」や「発明家」という言葉の代名詞にもなっています。
 この時点では固有名詞、代名詞のどちらの意味に置いても
 「エジソン」という語句にマイナスの要因は全くありません。
 しかし「エジソン」の前に「下町の」という修飾語をつけてみてください。

 ―――下町のエジソン。

 一気に「エジソン」という語句の価値が下がった感じがしませんか?
 「下町の」と「エジソン」の2つは
 単体では普通の語句なのに、合わさると一気に価値が落ちてしまう。
 これを私は「価値を下げる修飾語」と命名しました。

 他にも「爆笑王」という芸人はおろか素人でも呼ばれると嬉しい語句。
 この語句の前に「クラスの」をつけてみてください。

 ―――クラスの爆笑王。

 一気に面白そうなオーラが吹き飛んだでしょ?
 授業中やたら騒いで、クラスでは人気者風な扱いを受けていたけど
 いざ芸能界に入ってみたら全然面白くなかった芸人の過去みたいな感じです。

 他にも「アイドル」の前に「柔道界の」をつけたり、
 威厳と風格が漂う「主」の前に「ガード下の」をつけたり、
 「石原裕次郎」の前に「21世紀の」をつけると価値が一気に落ちます。

 皆さんも是非お試しあれ。

 

vol.051 2月28日号 285部

言語ネタにはまっていた時期に書いたものですね。
こないだ実際に見ましたよ、クラスの爆笑王。