第22回「リフォーム番組」

 家のリフォームをテレビで最初に取り上げたのは
 どの局のどの番組だったのだろうか。
 私が最初に見たのは「TVチャンピオン」のリフォーム王選手権だったが、
 最近では1時間番組やワイドショー内のコーナーでもよく見かける。

 みなさんお金をかけずに我が家をステキなお屋敷に改造したいらしい。
 しかし最近のリフォーム企画は壁を1枚壊すのなんて序の口で、
 外装は古い日本家屋、内装は天窓つきの洋風おしゃれ家屋なんてことはザラ。
 「リフォームっていうか買い換えたら?」なんて家も少なくない。

 リフォーム番組と一口に言っても、大きく分けて2つある。
 ひとつは問題を抱えている家を改造して住みやすくしてあげるパターン。
 段差が多くて年寄りが住みにくい、住居スペースが狭い、光が当たらない、
 収納が少ない、などの問題点をリフォームして解決してあげるというもの。
 このパターンの番組では、
 問題をいかに柔軟なアイディアで解決するか、という点が重要になる。

 もうひとつは、ただ見た目をおしゃれにするだけのパターン。
 これはワイドショー内のコーナーでよく取り上げられるパターンで、
 外国製の食器棚と日本製食器を違和感なくマッチングさせる方法や
 テーブルをより鮮やかに彩るアイディア、
 畳の部屋を80年代テイストに塗り替える裏ワザなどを紹介する。
 しかもその大抵が便利さや快適さを度外視して
 おしゃれさだけを追求した無茶苦茶なリフォームであることが多く、
 こっちのリフォームの方が別にどうでもいいことは間違いない。

 リフォーム番組の目玉は、改造後の家を見た住人のリアクションである。
 前者の改造を見た住人の殆どは感動して、設計者に感謝の言葉を述べる。
 改造前に苦労した時のことを思い出し、涙している人もいた。
 しかし後者の改造は「あぁおしゃれになったね」で終わり。
 別におしゃれになったからどうなるわけでもなく、それで終わりだ。

 たとえ一時の満足感しか得られないとしても、
 見慣れた自分の部屋をおしゃれに改造してもらいたい人は多いのだろう。
 だったら「愛の貧乏脱出大作戦」のその後チェックと同じように
 部屋を番組でおしゃれにリフォームしてもらった家に
 1年後突撃取材し、今もそのまま整っているか調べて欲しい。
 きっと不便でリフォームする前のゴチャゴチャした状態に戻っているはずだ。

 そしてリフォームの出来栄えに涙した家庭のその後もチェックして欲しい。
 「バリアフリーを意識しすぎたせいで通路が広く、部屋が狭い」とか
 「収納スペースを多く作りすぎて今まで使っていた家具が置けない」とか
 「夏は天窓の光が多く差し込みすぎてサウナ状態」などの問題が
 もし1年経っても5年経ってもまったく浮き彫りにならなかったとしたら、
 そこで初めてリフォーム大成功ということになる。
 だって、家は住んで数ヶ月経たないと良さも悪さも分からないんだから。

 

vol.022 12月12日号 207部

「ビフォーアフター」視聴率いいらしいね
こないだ見たら匠が発注と全く違うことやってたよ