第8回「手塚治虫ワールド」

 川崎市に建設を目指していた「手塚治虫ワールド」が、
 不況のあおりを受けて、事業断念することになった。

 建設発表当初の構想では、手塚作品に登場するキャラクターが勢揃いし、
 単なる遊園地ではなく、自然の山や雑木林を生かして作られる予定だった。
 内容もシアターやアニメ制作スタジオや専門学校を建設し、
 小児科病院や、図書館を始めとする教育施設も作られる……はずでした。

 しかし昨年12月に、総事業費が約1780億円から約640億円に大幅削減。
 アトラクション数も約半分に削され、名称も変更された。
 さてこれで企画が動き出した……かと思いきや、今回の事業断念の発表。

 ネズミ帝国の本命対抗馬と期待していたUSJがぐらつき始め、
 残る希望はこの手塚ワールドのみだと思っていたのになぁ……
 別にあのネズミ帝国が憎いわけではないんですよ、本当に。
 ただ現在、日本の遊園地業界はヤツの独占状態じゃないですか。

 少なくとも三つ巴にでもなって企業同士がしのぎを削って戦う姿が見たい。
 独占状態だと現在の地位に甘んじ、過信して、その力を振りかざす。
 プーさんの権利訴訟問題も、アミューズメント企画パクリ問題も、
 そこに夢など無く、全てはお金で解決し、力でねじ伏せた。
 もし対抗馬がいれば、そいつを倒すべくお互いに企業努力をして伸びる。

 日本では新しい大型遊園地を建設するのは難しい状態に陥っている。
 このままではあの癪に触る甲高い声を発するネズミに日本は制圧される。
 そうだ、ネズミを倒せるのはネコと昔から相場が決まっている。
 手塚治虫先生破れし今、
 残るエンターティナーの巨匠は藤子・F・不二雄先生しかいない。
 先生の代表作のネコ、ドラえもんにネズミの駆逐を目的とした遊園地を……

 あ、ドラえもんはネズミが駄目だったね。
 お後がよろしいようで。

 

vol.008 11月7日号 184部

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