第3回「スピッツ」

 カバー曲が流行っているらしい。
 少し前の「亜麻色の髪の乙女」や、「大きな古時計」など。
 「豪華アーティストによる名曲カバー」ということらしいのだが、
 まぁ少し口の汚い言い方をすれば「他人のふんどしで相撲を取る」ですわな。

 音楽だけでなく映画なんかのカバーやリメイクってのは、
 「私がやった方がオリジナルより良くなる」と思ってやるんでしょう。
 映画では大抵リメイクは失敗するんだけど、
 どうやら音楽では成功するケースのほうが多いみたいだ。

 そんな中、こないだスピッツの名曲を
 「豪華なアーティスト」たちがカバーしたアルバムが発売された。
 曲リストを見たんだけど……なんか微妙。
 私が無知なのかもしれないが、知らない「豪華なアーティスト」も結構いる。
 お茶のCMで松島菜々子嬢が「空も飛べるはず」を歌っていたが、
 別にこのアルバムに参加しているわけではないらしい。
 そういえば少し前の「午後の紅茶」のCMでも
 「ロビンソン」を使っていた。

 CMソングとして、劇中歌として、またカバーとして使われ、
 歌い継がれる名曲は、作られてかなりの年月が経っていようとも、
 聴く者に曲の古さを感じさせないという。

 しかしそのスピッツは登場した当初からどこか古臭かった。
 だから今も、当時の古臭さのまま残っている。
 逆にガンガン新しさを追求して狙ったつんくプロデュースの曲たちは、
 半年も経たぬうちに古臭くなってしまう。
 小学生の頃に可愛かった子を40年後の同窓会で見てがっかりするのと、
 小学生の頃にふけた顔をしていたヤツが、
 今も当時とさほど変わらない顔をしていて、逆に若く見えるのと同じ感じ。

 ……わかりにくい?

 

vol.003 10月25日号 175部

このタイトルは「スピッツ」で良かったんだろうか